連載 災害時の母子保健 妊産婦を守る助産師の役割・8
被災地の開業産婦人科医師の支援
吉田 穂波
1
1国立保健医療科学院生涯健康研究部
pp.768-772
発行日 2013年9月25日
Published Date 2013/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102575
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開業医の状況
震災直後の2011年4月1日,日本プライマリ・ケア連合学会東日本大震災支援チーム(PCAT)から母子のニーズアセスメントを依頼されて宮城県沿岸部に入った際,私は,妊産婦さんや赤ちゃんとともに,そのケアにあたる産婦人科医師の状況に思いを馳せていました。中核病院の産婦人科には東北大学をはじめ,全国の大学病院から産婦人科医師が派遣されています。しかし,産婦人科開業医の先生方はどうされているのかと気になって仕方がありませんでした。
私自身,4回の妊娠・出産では,病院だけでなく産婦人科クリニックにお世話になっていますし,クリニックでの勤務経験もあります。クリニックと大病院が提携する「オープン・システム」を取っていたドイツ(第1子)とアメリカ(第4子)では病院での分娩でしたが,日本で出産した第2子,第3子の時は開業クリニックで分娩をし,人手不足のなかでも奮闘しているクリニックの現状を痛いほど見てきました。また,東北地方の産科医療現場の苦境に関しては,2008年河北新報社発行『お産SOS―東北の現場から』という出版物にかかわったこともあり,身近な問題としてとらえていました。
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