連載 災害時の母子保健 妊産婦を守る助産師の役割・2
被災地妊産婦の状況について「わかっていること」と「わかっていないこと」
吉田 穂波
1
1国立保健医療科学院生涯健康研究部
pp.158-163
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102400
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
災害と母子保健について,東日本大震災前の周産期ケア専門家の認識はどのようなものだったのでしょうか。
以前の私は産婦人科医として「いいお産が目標」でしたが,自分が産後にとても苦労したことから,「お産はゴールではなくスタートだ」と身にしみて感じました。
また,私は自分自身もそうであるため,自分の世話を後回しにしてしまうお母さんが,いつも気にかかっていました。「お母さんにもっと注意といたわりを向けてあげてほしい」「育児不安でつらい人を1人でも減らしたい」「子育ては楽しいはずなのに,“孤独”を感じてしまう人を1人でも癒したい」――。
そのような気持ちから,東日本大震災後,母子保健および公衆衛生専門家を求めていた日本プライマリ・ケア連合学会の派遣医師募集に手を挙げ,2011年3月28日から日本プライマリ・ケア連合学会東日本大震災支援チーム(PCAT)メンバーの一員として,宮城県石巻地域,女川町,東松島市での妊産婦支援を始めました。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.