連載 周産期の生命倫理をめぐる旅 あたたかい心を求めて・7
予後不良の児に対する倫理的対応(Ⅰ)
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学
pp.560-564
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102518
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はじめに
新生児医療の現場においては,本シリーズの最初に紹介した事例(2013年1月号)のごとく,予後不良の症例に遭遇する機会は珍しくない。その対応には医学的判断に加え倫理的考察が不可欠であるが,アメリカとは違って医学教育・臨床教育に倫理学が欠落していたわが国の医療現場では,ほとんどの医療者はどう対応したらいいのか途方に暮れていた。幸い私は,北里大学在任中に倫理に造詣の深い坂上正道教授のアドバイスを受け,後に解説する「予後不良の新生児に対する倫理的考察からの治療方針」(いわゆる仁志田の基準)を独自に作って,実際のNICUの臨床で利用していた。現在多くの周産期医療施設で同様な問題に直面しているところから,今回は自験例を挙げてこの重要な倫理的問題に関する考えを述べる。
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