ベッドサイドの看護
予後不良な青年期患者への看護
西山 美智恵
1
,
有好 八恵子
1山口大学医学部付属病院第1内科病棟
pp.1064-1067
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919065
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はじめに
近年我が国では,大腸癌,潰瘍性大腸炎,クローン病などの増加に伴い,大腸疾患に対する関心が高まってきている.それらの中で,家族性大腸ポリポージスは,大腸にびまん性に腺腫が発生し,しかも若年時に,腺腫に癌が高率に合併することが注目されている疾患である,大腸疾患患者の多い当内科病棟において,私たちは21歳の男性で,入院時すでにS字状結腸癌および転移性肝癌を伴った予後不良の家族性大腸ポリポージス患者を看護する機会を得た.
青年期における予後不良患者の看護を通して,特に癌末期特有の激痛を訴える時期に頻回の患者訪問により,患者の心理と行動をどの程度把握することができるのか,また,その看護活動が,患者の不安の除去にどれだけ役立つのかを考えた.さらに,遺伝性疾患ということから,家族とのコミュニケーションを円滑にし,患者に対する看護が十分行えるよう努めた.以上のことを主眼点として,看護を試みたのでここに報告する.
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