連載 スキルアップのための症例検討 問題発生時に助産師はどう対応するか・8
腟壁血腫
進 純郎
1
,
高木 愛子
2
1聖路加看護大学臨床
2愛賛会浜田病院
pp.1016-1019
発行日 2009年11月25日
Published Date 2009/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101550
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症 例
32歳,0回経産,妊娠38週2日,陣痛発来にて10月29日午前4時に入院。身長156cm,体重54kg,血圧126/78,尿蛋白(-),Hb11.4g/dLであった。
7:30:自然破水,その後有効陣痛が続き,ゆっくりと分娩は進行し,翌30日午前2時,発露となる。
2:15:医師による左側会陰側切開を施行。
2:31:吸引分娩を2回施行後2724gの男児娩出。アプガー・スコア8点(1分値),9点(5分値)であった。
2:42:胎盤娩出,左側会陰切開縫合術開始,3時15分に縫合終了。3時45分頃から会陰部痛を訴えるようになった。すぐにドクターにオンコールし確認してもらったところ,左側腟壁血腫と診断された。血腫形成部位は切開縫合部のさらに奥と確認された。
3:50:内診指が血腫に触れただけで「痛い!」と訴える。分娩室の外廊下に座っていた母親が,「どうしたの?」と分娩部室のドアをどんどんとたたく。
3:55:血腫を切開し凝血を排出したところ,痛みは軽減し,廊下に向かって産婦が「私は大丈夫よ」と母親に話しかけたため,母親はドアをたたくのを止めた。切開部位を再縫合し,ペンローズドレーンを1本挿入した。血管確保し,輸液を行なうとともにソセゴン30mg静注,ボルタレン坐薬25mg挿入。腟内ガーゼタンポンを挿入し,抗生物質を投与した。
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