原著
前腟壁弛緩に対する腟式傍腟壁形成術
下浦 久芳
1
1下浦産婦人科医院
pp.885-890
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902188
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尿道膀胱脱など前腟壁弛緩の発症に傍腟壁支持の異常が原因となっていることがあり,その修復に支持の復元を目標とする傍腟壁形成術がある.1990年10月より傍腟壁支持異常による前腟壁弛緩の他に腹圧性尿失禁や各種脱を合併する25例に,各種脱に対する修復術とともに当術式を腟式に行い,その後1年以上にわたって24例の経過を観察した.術中並びに術直後に出血,下部尿路損傷や瘻孔など有意の合併症はなく,1例の腹圧性尿失禁の再発を除いて結果は良好であった.
腟式傍腟壁形成術は従来からの前腟壁形成術に比べ手技がやや複雑であるが,傍腟壁支持異常による前腟壁弛緩に対して合理的かつ効果的な修復術式ということができる.また当術式は恥頸筋膜縫縮術を含め腟式の各種脱修復術と共に同時に同一視野で行うことができるので有用である.
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