特集 産婦人科医が担うべき産道裂傷の包括的ケア―女性のQOLを守るために
産道裂傷の解剖・診断・治療・予防
4.腟壁血腫の診断と治療
羽室 明洋
1
,
橘 大介
1
A. Hamuro
1
,
D. Tachibana
1
1大阪公立大学大学院医学研究科女性生涯医学
pp.1065-1070
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003566
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外陰・腟壁血腫は経腟分娩時の大量出血の原因の1つで,発症頻度は0.5~0.8%とされる。初産や急速分娩,巨大児や回旋異常が発症リスクとなり,外陰部の疼痛・肛門圧迫感を主症状とする。重症例では出血性ショックに至ることもある。診断には視診・触診に加え,超音波・CT造影検査による血腫の部位と広がりの評価が重要である。保存的治療は軽症例に限定され,重症例では外科的治療や経カテーテル動脈塞栓術が有効である。早期発見と適切な対応により重症化を防ぐことが期待できるため,輸血や高次医療機関への搬送を適切なタイミングで行うことが望ましい。

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