研究
退院後の乳房のトラブルに影響する要因
坂根 綾子
1
,
森川 好美
1
,
木村 久恵
1
,
石野 順子
1
,
津田 やす江
1
1公立南丹病院
pp.142-146
発行日 2009年2月25日
Published Date 2009/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101381
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はじめに
乳児にとって,免疫系やそのほかの生物学的機構についてはいうまでもなく,心理的・社会的に最も望ましい発達をするうえでも母乳育児が貢献していることはすでに明らかである。しかし,短い産褥入院期間中に母乳育児を確立し,自信をもって退院させることは困難である。松崎ら1)は,産後1か月時の母乳栄養実施率は退院時より低下しており,産後1か月時の母乳栄養実施率に有意に影響していたのは乳頭トラブルであったことを明らかにしている。退院後の母乳育児を楽しみながら継続していくうえで,乳房のトラブルへの介入は重要と考える。
先行研究において山田ら2)は,退院時の1回直接母乳量が退院後の母乳栄養の確立に影響していることを明らかにしている。また阿部ら3)によって,母乳栄養の確立への影響要因として,母親の年齢,乳房の形態,乳頭の形態が明らかにされている。また,松永4)は退院後の乳房ケアの概要やケアを提供するスタッフの職種など,退院後の乳房ケアに関する現状を明らかにしている。平賀ら5)は,退院後の乳房のトラブルで最も多かったのが乳房の硬結・疼痛であり,トラブル発生の時期は産後4週間に集中していたことを明らかにしている。しかし,退院後の乳房のトラブルの実態から,それに関連する要因を明らかにすることを検討した研究はほとんど行なわれていない。
そこで本研究の目的は,対象の入院中の乳房の状態と退院後の乳房のトラブルの実態から,退院後の乳房のトラブルに影響する要因を明らかにすることとした。
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