実践報告
地域産婦人科病院における助産師卒後研修制度と院内助産院設置の経過および現状―産婦人科医の立場から
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.148-153
発行日 2009年2月25日
Published Date 2009/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101382
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
最近,産科医・産科施設の減少1)により,安心して出産することができないという,今まででは考えられないことが起きてきた。そして,突然,これまで産科医療領域であまり光を当てられて来なかったとも言える助産師に白羽の矢が立った。すなわち「産科医が減ったなら“お産の専門家”である助産師に頼めばいい」ということになったようである。しかし,現実問題として現行制度のなかで教育を受けてきた助産師の力だけで,分娩介助を中心とした妊・産・褥婦に関する医療行為を,産科医にとって代わって行なうことができるであろうか。この問に対し私は“否”という返答をせざるを得ない。その理由については後述する。
私は産婦人科施設諏訪マタニティークリニックを1976年信州諏訪の地に開設したが,以来今日に至るまで,助産師と産科医とは車の両輪のごとく手を組んで医療を進めるべきとの信念のもとに産科医療を推進し,その過程のなかで独自の助産師卒後研修制度と院内助産院を設けてきた2,3)。本稿では,そのコース設置に関するビジョンと院内助産院のあり方について述べる。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.