連載 分娩経過曲線のヒミツ・8
WHOの推奨するパルトグラムはどのように作られたのか
伊藤 久美子
1
,
立岡 弓子
2
,
山口 江利子
3
,
山下 恵
4
1元 JICA
2名古屋大学医学部保健学科看護学専攻
3愛知県立看護大学
4名古屋大学大学院医学系研究科博士前期課程
pp.751-757
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101277
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前回中南米において,CLAPのパルトグラムが,都市部で出産する女性の死亡率の低下や異常の早期発見に役立っていることをご紹介しました。ところで,フリードマン曲線以外の分娩進行を診断する指標としてWHOがパルトグラムを推奨していることを,わが国の助産師はどのくらい知っているでしょうか。また,フリードマン曲線だけでなく,ほかのパルトグラムの存在や活用状況や成果について正しい知識を持っているでしょうか。今回は,フリードマンの考案した子宮頸管開大度とPhilpott(フィルポット)の考案したパルトグラムを組み合わせて作成されたWHOのパルトグラムについてご紹介します。
WHOが推奨しているパルトグラムは,CLAPのパルトグラム(連載第7回)と今回ご紹介するフィルポットのパルトグラムの2種類です。1972年にフィルポットにより開発されたこのパルトグラムは,CLAPのパルトグラムの原型でもあり,より簡潔であることから,アフリカやアジアなど広範囲の地域の多くの開発途上国において使用されています。このパルトグラムの存在を知ったときには,私たちは目からうろこが落ちる気持ちでした。
国際的に作成されたWHOのパルトグラムに関する知識を得ることで,私たちが現在作成に取り組んでいる分娩経過曲線が完成したとき,異常経過の移行についての早期発見指標の手がかりや基準となるラインがつかめるのではないかと考え,文献学習を進めていきました。
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