連載 今月のニュース診断【最終回】
パワハラと自殺・自死
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門生命倫理・法哲学
pp.1076-1077
発行日 2007年12月25日
Published Date 2007/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101134
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パワハラ自殺に労災判決
製薬会社の30代男性社員がうつ病にかかり自殺したのは,50代上司(係長)の暴言などによるパワハラが原因であるとして,静岡地裁は10月15日,静岡労働基準監督署(以下,労基署)の判断を取り消す判決を出した。
男性は,上司が赴任した2002年から「存在が目障りだ。お願いだから消えてくれ」「給料泥棒」などとたびたび言われ,同年12月からうつ病の症状を発症,翌年3月に自殺した。妻は2004年,労基署に労災を申請したが認められず,国に労災を認めるよう訴えており,裁判所は,「男性は仕事のために鬱(うつ)病になり自殺した」と結論し(産経10月30日ほか),原告(遺族)代理人は「判決確定を踏まえ,厚生労働省に職場でのハラスメントを規制するよう強く求める」とコメントしている(毎日10月30日)。
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