特集 分娩監視装置をどう使っていますか?
分娩監視装置を使用しない分娩期の観察とケア
毛利 多恵子
1
1毛利助産所
pp.926-929
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100985
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はじめに
20年前,周産期センターを退職し,助産所に勤務したばかりの私にとって,分娩監視装置を使わない胎児モニタリングなど考えも及ばないことであった。助産所にも分娩監視装置を設置してもらい,最初の1年は,頻回に使用していた。しかし,分娩中,継続的に産婦に付き添うことでわかってきたことは,母親がリラックスし,安心感をもつことができ,身体面の状態も良好であれば,ほとんどの場合,胎児心音も良好であるという経験であった。
この経験から私は分娩時の産婦へのケアが結果的に胎児の状態に影響するのではないかと考えている。胎児モニタリングは,器械だけではなく,手などの五感を用いて行なうこともでき,母親にとって安楽で安心できるケアをまず提供することによって,胎児の状態を正常に保ち,胎児の状態が安心できるものであることを確認していくプロセスなのではないだろうか。胎児の状態には,ケアの結果が反映される。この考えに基づいて,当助産所で実際に用いている方法とケアについて述べてみたい。
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