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分娩管理と分娩監視装置
その現状と問題点
●使用の現状
分娩監視装置(Cardiotocography)を用いた胎児心拍陣痛図(Cardiotocogram,以下CTG)による胎児心拍数モニタリング(Electronic Fetal Heart Rate Monitoring,以下EFM)は,1960年代以降,世界各地の産科医療施設に普及し,産科領域におけるスタンダードとして定着している。やや古いデータであるが,カナダにおける1989年のNational Survey1)によると,EFMは76.3%の医療機関に普及し,また71.8%の施設ではほとんどすべての妊婦にEFMを使用していた。また米国では出生児の76%でEFMが使用されていたという1991年調査データがある2)。一方,英国England及びWalesにおける2000年の調査3)では,EFMは93%の妊婦で使用されているが,すべての妊婦に対してEFMを使用している施設は2.5%とのデータも示されている。
日本においてはどうだろうか? 堀口4)によると,ある周産期医療専門施設の調査において1960年代には分娩監視装置の使用率0%であったものが1990~92年には90%になったことが示されている。また渡部らの調査5)では,調査対象3,843人中分娩監視装置を入院後つけたままであった人22.7%,入院後数回装着した人32.4%,入院時・全開前・分娩時の3回装着した人21.1%であり,これらを合わせると約76%(2,928/3,843)の妊婦に入院後の分娩監視目的(入院時1回だけの装着は含まない)で分娩監視装置を使用していたことが報告されている。これらのデータが示すように日本においてもほとんどの産科施設に普及し,ルチーンに用いられている場合も多い。
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