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はじめに
看護教育の高等教育化は昭和27年開設の高知女子大学に始まり,近年,4年制の看護系大学・学部などが著しく増加し,1県1大学をはるかに超える大学数となった(2006年現在146校)。それらの大学では,助産師教育を看護基礎教育期間のなかで科目選択あるいは課程選択として実施する大学と,大学専攻科および大学院など看護教育修了後に位置づけている大学もある。また,助産師教育の養成コースは大学教育のみならず,短期大学専攻科(以下,短大専攻科),専門学校と多様である。そのなかで,看護大学で行なわれている助産師教育に関して,4年の大学教育のなかで統合カリキュラムとして実施することが望ましいとする意見と,大学卒業後に1年以上の教育期間をかけて教育することが望ましいとする意見とがある。
そこで,全国助産師教育協議会(以下,全助協)では,現時点の,看護系大学で4年間の看護基礎教育のなかに含めて行なわれている助産師教育と,短大専攻科および専門学校の1年課程で行なわれている助産師教育の実態を調査し,異なる教育課程による教育内容の違いを明らかにし,助産師教育のあり方を検討した。さらに,実態調査から助産師教育の大きな問題点として指摘された分娩介助実習について,会員校への意向調査を行ない,全助協の見解として,「分娩介助・継続事例実習指針」をまとめた。
そうした経緯を踏まえて,[その1]では「カリキュラム」および「助産学実習」の実態について,[その2]では「到達状況」および「分娩介助・継続事例実習指針」について報告する。なお,本調査は全助協分娩実習改善検討委員会が行なった調査である。本調査の一部は,『助産雑誌』58巻3号においてすでに報告している部分もあるが,全体把握のために再掲していることをお断りする。
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