特集 助産を学ぶということ
実践への参加と専門家養成教育―助産師教育における臨床実習を視野に入れながら
高木 光太郎
1
1東京学芸大学
pp.1026-1031
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100894
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
大学院の設置など,いま助産師教育のあり方が大きく変化しつつある。このような状況を背景として,助産師教育における臨床実習の位置づけについて,多くの議論が交わされている。この問題の検討には助産技術習得のための教育内容,方法といった狭義の教育的視点にとどまらず,助産そのもののあり方を問う思想,教育機関,病院等の組織上,財政上の諸問題,助産師に対する社会的ニーズ,助産師資格取得希望者の実態などを踏まえた,多角的な視点が必要であると思われる。本稿では,このような検討作業に1つの視点を提供することを目的として,認知心理学(cognitive psychology)における学習研究の最近の成果,そのなかでも特に状況的学習論(situated learning)と呼ばれる立場から,助産師教育を含む,高度専門家養成教育における実習の位置づけについて考えてみることにしたい。
以下では,(1)状況的学習論の基本的な考え方を確認し,(2)その代表的な理論の1つである「正統的周辺参加(legitimate peripheral participation)」1)(以下,LPPと略記)の概略を述べた後,(3)これを手がかりとして助産師教育における臨床実習の位置づけについて検討することにしたい。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.