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岩手県での新しいプライマリー施設確立への模索―相次ぐ産婦人科閉鎖で深刻な問題を抱える岩手県での試み
小笠原 敏浩
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1岩手県立釜石病院産婦人科
pp.529
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100757
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相次ぐ地域での産婦人科休診
岩手県では,産婦人科を休診する病院が相次いでいます。産婦人科医の退職や大学病院から出向している産婦人科医の引き上げに伴い,全国公募やいかなる方法でも産婦人科医を確保できず,産婦人科休診に追い込まれている深刻な状況があります。何が原因でこのような異常な事態が起きているのかを分析し,早急に改善しなければなりません。
岩手県は日本一面積が広い県で,人口密度92人/km2,山間部が多く地理的にも風土的にも厳しい条件にあります。岩手県の平成13年度の出産数は総数で12,727人と大都市と比較すると多くは感じませんが,広大な土地に13市,29町,16村があり,出産できる施設が散在しています。出産のほとんどは病院・診療所で行なわれています。助産院は内陸に1施設あるのみで,診療所も内陸に集中し,沿岸部では出産できる場所が病院に集中します。そこで,沿岸部では病院の産婦人科が休診となると,妊婦さんは隣の医療圏の病院へ通院しなければならなくなります。
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