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特集 わが国における脳・心血管疾患予防のための疫学研究
岩手県北コホート
The Iwate KENCO Study:Design and Rationale
大澤 正樹
1,2
,
岡山 明
3
Masaki Ohsawa
1,2
,
Akira Okayama
3
1盛岡つなぎ温泉病院内科
2岩手医科大学医学部内科学講座循環器内科分野
3生活習慣病予防研究センター
1Department of Internal Medicine, Morioka Tsunagi Onsen Hospital
2Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University
3Research Institute of Strategy for Prevention
pp.37-48
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205881
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岩手県北部地域コホート研究,企画・設立・開始
岡山は滋賀医科大学在職中に上島らとともに日本循環器管理研究協議会が調査の企画を行った循環器疾患基礎調査受診者の追跡研究を実施して1994年には1980年調査の14年,1995年には1990年調査の5年目の追跡調査のデータセットを完成させ,後年現在の日本人の循環器疾患に関する代表的な研究の一つとなるNIPPON DATAの追跡データセットを完成させた.NIPPON DATA80(90)は,無作為に選んだ全国300の保健所所管の地域住民の性年齢層別化抽出された対象者約10,000名(8,000名)をさかのぼりコホートの手法を用いて14(5)年後に住民基本台帳による生命予後の把握,人口動態統計との照合による死因別死亡をアウトカム情報とした研究であった.一方わが国の循環器疾患の疫学研究の多くが対象者数千名の規模で実施されており,欧米人に比べて虚血性心疾患罹患率の低い日本人では,解明されない課題が残されている.特に,日本人女性では虚血性心疾患罹患率が低いため,男性で明らかにされた古典的危険因子が日本人女性でリスク要因となるかは明らかではなかった.
岡山が岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座に赴任したのは1999年7月である.大学での教育業務の合間を縫って当時の岩手県市町村の多くを訪問し健康課題に関する意見交換を行い,循環器疾患の発症把握と研究規模の拡大を岩手県で行うことの可能性を検討した.
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