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産婦人科における風疹―先天性風疹症候群の予防のための風疹予防接種の重要性について
岡田 晴恵
1
1国立感染症研究所ウイルス3部
pp.521
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100755
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風疹の感受性層である幼児に対するワクチン接種が功を奏し,ここ数年,全国の風疹患者数は,きわめて少なく推移していました。しかし,今年になって,群馬,大分,鹿児島,宮城,埼玉などの地域的な流行の報告が認められ,これが全国に広がることが懸念されています。さらに今回の流行では,学童期や20歳以上の若年成人の患者の割合が多くなっています。
妊娠初期の女性が風疹に感染すると,風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し,先天性風疹症候群を発症することがあります。先天性風疹症候群を発症するか否かの決め手は,妊娠のいつ頃に感染したかということです。妊娠3か月以内の女性が感染すると,出生児は白内障,心臓病,難聴の2つ以上をもって生まれてくることがあります。妊娠5か月頃までに罹患した場合は難聴がみられることがあります。しかし,妊娠6か月以降に感染を受けた場合には,胎児が風疹症候群となる可能性は大幅に低くなります。
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