連載 ちょっとオランダまで 周産期ケアと助産活動の実際・7
オランダの周産期ケアシステムの特徴―男性助産師・産褥専門看護師・開業医の働きを垣間見て
滝沢 美津子
1
1山梨県立看護大学
pp.173-178
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100676
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オランダにおける男性助産師
男性助産師が臨床現場へ参入することに関して日本では賛成派,反対派,中立派の意見が混在状態にあることは周知の通りです。この課題について助産教育機関で教鞭をとる教員,周産期医療の現場で働く専門家,省庁の役人,助産ケアの対象者である女性達など,各方面の有志で大規模な意識調査や聞き取り調査を実施し,その結果はさまざまな紙面を通して社会の人々に訴えました。賛成を唱える人々,反対を唱える人々,ともに自分達の考え方を世間にアピールしている中で,賛否を支持する理由はそれぞれに納得できる内容でした。最近ではこの男性助産師問題は法制化,組織化に向かって整備されてきております。
オランダではおよそ30年以上も前に,私が訪問したアムステルダムの助産師学校に男性が入学し3年間の修学を経て助産師として働き始めました。当時からパートナーが付き添う自宅出産が一般的でしたが,男性助産師が実際に仕事を担当し始めた当初は,ケア対象である妊産褥婦やその家族の“男性助産師”であることへの抵抗や戸惑いは多少あったと言います。それでも男性助産師だから女性の助産師よりも仕事に不都合が生じるという明らかな差異は無かったとのことでした。ただ宗教的な面で,現在もそうですがイスラム教徒の女性達は自分が出産する場合,男性助産師を選択しないとのことです。
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