ひまわり
カナダで垣間見た私の老後
榛葉 由枝
1
1天竜すずかけ病院
pp.42-43
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900715
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「人は昔 鳥だったのかもしれないね こんなにも こんなにも 空が恋しい」と歌われるほど,人は昔から空に憧れ,空を飛ぶことを夢見て,さまざまな試みに挑戦してきた.最初に空を飛んだ飛行機は,そんな思いと科学的な発明や発見が相まってつくられたと聞いている.それから時を経て21世紀になんなんとする現代の科学は,「あんなに大きな図体の鉄の塊みたいな物体が,なぜ空を飛ぶことができるのか」という問いに対して,簡単に答えを出してくれる。つまり,「風のエネルギーに対して,翼の角度を変えることによって抗力と揚力が生じて,機体が浮く」というわけである.今や世界はおろか,国内を移動するための常套手段として,飛行機は人々の生活の中に定着した感がある.
しかし私は,飛行機が空を飛ぶ理屈を頭では理解できても,どうしても体が拒否してしまう.地に足がついていないことが不安で仕方がない.とやかく言うものの,怖くて乗りたくないのが本音である.乗らざるを得ない場合は,全身を硬直させて目を閉じて歯を食いしばって,ひたすら神頼みをしながら耐える.それもせいぜい1時間余りの国内の旅行が限度であった.その私が,このたび友人の熱心な勧めで「カナダ訪問看護事情視察研修団」に加わることになった.
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