連載 今月のニュース診断
医療経済学から見る,周産期医療システムのあり方
田倉 智之
1
1(株)三菱総合研究所ヘルスケアソリューショングループ
pp.6-7
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100641
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古くて新しい課題
ハイリスクな妊婦や重篤な患児への対応不足について関心が高まり,小児医療や周産期医療のシステム整備が叫ばれてからずいぶんと時間がたつ。その間,徐々に各種整備が進められ,それなりの成果も出てきているようだ。しかし,重患の受け入れ拒否や各種有害事象に関する記事が相も変わらず紙面を賑わしている。
この背景にはNICU等のベッド不足や専門医等のマンパワー不足があると考えられる。近年も,「ハイリスク新生児の必要病床約4,600床が不足状態」という厚生科学研究の報告や「地域周産期搬送システム マンパワー不足目立つ」という日本周産期学会での報告(成育医療共同研究)がなされている。報告では母体搬送でも76%の施設は拒絶した経験があり,拒絶の理由にはNICUや産科病棟の満床が最も多く挙げられていた。
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