特集 地域と施設を結ぶコラボレーションシステム
海外のコラボレーションシステム
オランダでの産科における連携―コラボレーションの仕組み
小出 久美
1
1在オランダ・助産師
pp.1040-1045
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100630
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「お産は病気では無い」という認識
オランダでは自宅分娩が主流であるのは有名である。これを支えているのが開業助産師の専門性の高さによることはいうまでもないが,その前にオランダ社会全体の認識として,お産は家でするものという考え方が浸透していることはあまり注目されていないようだ。もともと医者嫌い,薬嫌いのオランダ人気質によるものか,お産をする本人もそのパートナーも,出産を医療が介入する事態とはとらえず,初潮を迎える,あるいは閉経する,という体の変化と同様の生理的現象としてみているようだ。
ダイレクトエントリーで教育を受けている助産師も,異常を見つけ出すというよりは,健康を増進するという姿勢で援助をするので,厳しい体重のチェックや運動制限などはまず行なわれない。双方の理想=自宅分娩と一致していることが,良い関係づくり,適切な援助に大きく関与していると考えられる。人からとやかく指示されることを嫌い,自律を尊ぶオランダ人であるが,専門家としての助産師の意見は傾聴される。正常妊娠・分娩の経過において,最終的に判断を下すのは助産師であり(その過程でクライエントとそのパートナーの意見は尊重されるが),助産師から意見を求めない限り,医師が介入することはない。
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