特集 「対話」がひらくリスクを超えた関係
本当の「リスクマネジメント」とは何か―「学び」「変えていく」ことへの願い
勝村 久司
1,2
1医療情報の公開・開示を求める市民の会
2陣痛促進剤による被害を考える会
pp.468-473
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100535
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はじめに
近年ようやく,医療事故防止策が積極的に論じられるようになってきました。そのキーワードは「リスクマネジメント」です。ケアレスミスをできる限りなくすために,薬剤ごとに容器の色や形を変えるなどをして,事故が起こりやすい要因をあらかじめ排除する努力をしたり,病院の中に医療事故防止のための委員会やリスクマネジャーを置く,インシデントレポートを収集していく,などの取り組みが中心になっています。
このような取り組みが進められるのは当然のことであって,むしろ従来からなされていなければならなかったことでしょう。ただ,私は現在すすめられている「リスクマネジメント」だけでは,繰り返し報道されている医療事故や医療被害,医療訴訟を減らすことはできないと感じています。
より根本的な問題として,①医療界内部の民主化,②患者や家族も含めたチーム医療,③健全な診療報酬制度,④アクシデント事例の分析などがあげられると思います。そして,これらを実現していくために必要な前提は,情報公開と意識改革なのです。
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