特集 「対話」がひらくリスクを超えた関係
「裁判」と「真実」
岩下 雅充
1
,
小西 知世
2
1筑波大学大学院博士課程社会科学研究科
2筑波大学社会科学系
pp.461-467
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100534
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
産婦人科領域の医療過誤訴訟の件数は,内科・外科とならび,つねに上位を占めている1)。なかでも妊娠・分娩に関連するものが特に多く,それらは産婦人科医療過誤訴訟全体の4分の3を占めるといわれている2)。
なぜ周産期における医療過誤訴訟が多いのであろうか。その理由として,①出産という喜ばしい出来事が一瞬にして不幸な結果に転じるため家族の受けるショックが大きいこと,②今日の妊産婦および乳児死亡率の大幅な低下がもたらした“お産は,当然,無事に経過するもの”という世間一般の期待を裏切る結果が生ずること,そして③その不幸な結果は慢性的に経過する内科疾患とは異なり直ちに明らかになることなどがあげられている3)。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.