連載 医者ときどき看護師・18
真実の力
平林 大輔
1
1(社)地域医療振興協会・東京北社会保険病院
pp.464
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101488
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- 文献概要
真実とは,薬と同じで聡明な使い方をするべきである。それは人を助けもし,傷つけもする潜在能力を持っている」(Wiseman/『緩和ケア百科』)
自分の中で印象に残っている言葉を3つ挙げろと言われたら,この言葉はおそらくその中のひとつに入る。確か,「告知」に関して書かれたページで見つけたのだと思う。最初に目にしたときには「ふ~ん」くらいにしか思わなかったのだが,何度か読むにつれてだんだん心の中に染み込んできた。今では座右の銘とも言えるかもしれない。
この言葉を見つけた当時は「インフォームド・コンセント」という言葉が流行りだった。「説明と同意」などと訳されたりもして,「すべてを知らせないことは悪だ」みたいな風潮すらあった気がする。「患者の治療方針はすべて医者が決める」「がんになったら本人より先に,まずは家族に話す」という旧体制(?)からの反動もあったのかもしれない。
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