連載 生殖補助医療 “技術”がもたらした現実と未来⑨
ヒトクローン胚をどう考えるか
米本 昌平
1
1科学技術文明研究所
pp.436-441
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100528
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発生工学の進展と新しい倫理問題
生命科学の分野で技術の新展開と言えば,ゲノム研究がその中心であったが,1990年代後半,哺乳類の発生工学の分野で技術的な突破口が開かれ,そこから予想外の展開となった。
口火をきったのが97年のクローン羊ドリーの誕生である。それまでの発生学の常識では,カエルのような両棲類であるならいざ知らず,高等哺乳類の分化の進んだ体細胞からはクローンなどはまずできない,と考えられていた。ところがいったん羊で実証されてしまうと,堰をきったように牛,マウス,サルなどでもクローンの作成に成功し,また瞬時にクローン人間の賛否をめぐって大論争が巻き起こった。
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