特集 周産期のナラティヴ―助産師の語りの世界から
医療者の「語り」がもつ意味
小森 康永
1
1愛知県立城山病院
pp.316-322
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100504
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本誌編集部の方から「周産期のナラティヴ」という特集に一文を寄せるよう依頼する手紙が届いたのは,11月の下旬だったと思います。折り返し頂いた電話は,僕の勤務する城山病院4階にある医局の窓辺で受けたのですが,そのとき眼下には,猫洞池から平和公園,東山にかけて遅ればせながらの紅葉があたりを一斉に染めだしていました。
特集のねらいには,こんなふうに書かれていました。「臨床は多くの『語り』に満ちています。助産の領域でもこのことに変わりはありません。お産を前にした妊産婦の思い,出産という劇的な現象,生まれてきた子どもに対する母親の気持ち,自らの病いと向き合う患者の藤,助産師自身の気づきや職場のスタッフから得た新鮮な学び,臨床で目の当たりにする出来事への驚きや感動……ケアの一環としての『ナラティヴ』は,しかし同時に,ケアをする側である助産師にも新たな『物語』を生み出します。そして,その『物語』を助産師自身が語り,自己のなかに意味づけがされたとき,『物語』は助産師としてのあり方やケアに対する姿勢にまでも影響を与えるような豊かな経験として各人のなかに刻まれていきます……」。
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