マイ・オビニオン
主体性をもつことの意味
三浦 倶子
1
1天草病院
pp.577
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918409
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私は長年,精神科看護に情熱をかたむけているわけだが,過日,ある学会参加をきっかけに,看護の‘主体性とは’について考える機会を得た.精神科に勤務された経験のある方は,感じられると思うのだが,ケアを実施する上でかなりの精神的緊張があるし,忍耐力と根気を必要とし,あらゆる角度からの人間的要求を理解しなければならない.
患者が不安な状態で入院してから社会復帰するまで,ナースに要求される役割は多種多様で,ある時は教師になり,あるときは芸術家になり,音楽家になり,演出家になり,またカウンセラーになることも要求される.患者の必要としていることを見つけ,なんでもやらなければならず,精神的負担とともに体力的負担も大である.何を見つけ出していくかということも,いちいちドクターの指示を得たりする余裕はほとんどなく,目の前に起きてくる数限りない事柄は,看護者自身の判断と責任において処理しなければならない.このように精神医療において看護の役割を展開していく上では,ナースの主体性が強く要求され,それがそのまま治療に大きな役割を果たしていると思うのである.
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