--------------------
書評 ─『師長の臨床 省察しつつ実践する看護師は師長をめざす』─師長の「実践の知」を明らかにした1冊
加納 佳代子
1,2
1東京農業大学戦略室
2東京情報大学看護学部
pp.53
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200672
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
私は30年の臨床を経て大学教員になったが,その大半を病棟師長や看護部長として臨床の海を泳ぎまわっていた。30〜40代の師長としての10年半,臨床で考え,探り,悩み,実践したエピソードを『それぞれの誇り 婦長は病棟の演出家』(ゆみる出版,1997)を師長の語りとして描いた。ここで私は「師長の臨床」を描きたかった。師長の仕事もケアであることを示したかった。師長としてのケアリングパワー(看護の力)は見えにくいからこそ,どうにか伝えたかった。
本書の著者は,「看護職生涯発達学」を確立し,研究者として実践の中にある看護の力を発信しつづけてきた佐藤紀子さんである。著者の研究と,院生たちとともに行ってきた研究の成果をふまえながら,18年前に出版した『変革期の婦長学』のリニューアルである。時代が変化しても変わらない優れたジェネラリストである師長の「実践の知」を伝えている。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.