特集 周産期のナラティヴ―助産師の語りの世界から
出会いから得たもの―産む力,生まれる力に寄り添って
増永 啓子
1
1千葉大学医学部附属病院
pp.291-295
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100499
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はじめに
私が助産師になって十数年になろうとしている。その間,施設内での部署異動も経験し,その時々,「今の立場で助産師として自分にできることは何か」を考えながら過ごしてきたように思う。そして,そう思うことができるようになる過程には多くの出会いがあった。私達助産師の仕事は女性の妊娠・出産をきっかけとして,そこで築いた信頼関係を基盤に,その人の人生にかかわり,心の支えとなる長い付き合いを始めていくことではないかと思う。これまでの出会いを振り返り,自分の中に起こった変化,そして今現在心に思うことについて述べさせていただきたい。
私の勤務する病棟は,産科と婦人科の混合病棟で病床数49床のうち産科に割り当てられているのは10床ほどである(しかし妊婦・褥婦が多い時は,婦人科の患者と同部屋になることもあり,流動的ではある)。年間分娩件数は帝王切開も含め400弱で,大学病院という特殊性からハイリスク妊娠が多い。
平成2年から,看護の継続性を高めるため病棟と外来を同じスタッフがみていくという看護の一元化が実現し,産科に関しては「受け持ち制継続母子看護」と銘打って,妊娠から1か月健診まで妊産婦と助産師が1対1でかかわる仕組みになっている。現在はスタッフ1人あたり,病棟の受け持ち患者3~4名(産科・婦人科両方)と外来通院中の方で常時6~7名を担当していることになる。しかし,外来通院中の妊婦を全員1対1で受け持つことは不可能であるため,健診時の外来担当助産師約2名で当院に受診している妊婦・褥婦全員に,毎回保健指導を行なっている。助産師外来はまだ行なっていない(表)。
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