連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・30
産婦の産む力を信じ支えるケアとは
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.828-829
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100406
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“お産は自分の力で産むもの”と,疑っていない産婦のお産ほど正常に進む。37歳で5妊4産,双子妊娠のアンヘルのお産がそれを改めて私に信じさせた。
双子の予感
アンヘルは苦労が染み付いているかのような瘦せた体で,大きなお腹だけがやたら目立つ産婦だった。触診の後「双子だと思うよ」と私が言うと,彼女がきっぱりと「赤ちゃんは1人よ!」と答えた。超音波で見たわけではないから確かに根拠は無い。私が「双子なら病院でお産をするべき」と話すと,「私は普通に産めるから」と言って聞かない。これ以上話しても時間の無駄だとわかった私は,次の機会を待つことにした。大抵35歳以上の産婦が双子を出産する場合,9か月を超えるぐらいには浮腫みも出てくる。その時の健診をきっかけにして,ここでの出産は無理であることを話そうと考えたのだ。
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