特集 精神疾患をもつ女性の周産期ケア
精神疾患合併妊婦とその家族への援助
新井 陽子
1
1北里大学病院産婦人科
pp.126-132
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100465
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はじめに
周産期は新たな家族が加わり非常に幸せな時期であると同時に,さまざまなストレスが生じる時期でもある。出産した母親は今までの社会的役割,妻の役割の他に,新たに母親としての役割を担うこととなる。しかしこれは母親だけの問題ではなく,新生児を迎える父親,祖父母,兄弟もそれぞれの役割が要求される。この意味から周産期においては,母親のみならず家族に対する援助も重要といえる。
妊娠・分娩・育児の過程ではホルモンバランスが大きく変化し,妊娠に伴う身体的変化と負担が生じる。また,育児によるストレスなども加わってくることになる。セルフケア能力の低い精神疾患合併妊婦はこの変化に対応できず,妊娠・産褥期に精神疾患の再燃・増悪が起こる頻度は高い1-4)。そのため,妊娠から産褥において母親のみを対象とした看護援助だけでなく,母親を支え,母親とともに分娩を迎える家族全員を対象にした看護援助が必要となる。
本稿では,家族看護理論を用いて精神疾患合併妊婦とその家族への援助について述べてみたい。
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