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はじめに
筆者の勤務する杏林大学病院は,3次救急施設で特定機能病院である。その総合周産期母子医療センターに勤務する助産師に期待される能力は,妊娠・分娩・産褥期の母子のケアに加え,母体合併症への対応,母子の救急時への対応ができることである。この能力は一朝一夕に獲得できるものではなく,計画的なプログラムとその実施,そして評価のサイクルをきちんと実践していくことで獲得できていくものと考える。
特定機能病院の役割として,臨床・教育・研究への取り組みも課せられている。これらは医師に課せられているだけではなく,助産師にも課せられている。したがって,母体の合併症や,母子の救急時に対応できる臨床実践能力のレベルを向上できるような「仕組み」を持っていなければならない。また,教育機関としての役割を臨床の立場で果たすことも課せられており,看護学生の臨床実習や助産実習生を受け入れる体制を整えていなければならない。
学生への教育的関わりばかりではなく,新人助産師の教育も私たちの役割である。そして,自分たちの提供しているケアや,臨床実践の検証を自ら行なっていかなければならないのである。つまり,臨床実践上の研究的取り組みが課せられているのである。
以上の取り組みは,周産期センターの助産師仲間で作成した,看護・助産理念(表1)を基本に据えて展開している。また,個人目標達成も周産期センター看護部門の教育支援システム上のもう一つの柱である。個人目標の達成支援は自己学習,院内で行なう現任教育プログラムの活用と,臨床実践能力評価システムによって構成されている。
本稿では,当部門の臨床における助産師教育の様々な取り組みについて紹介する。
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