特集 周産期に子どもを亡くした家族に寄り添う
ペリネイタル・ロス(周産期喪失)へのケア―明日から改善できること
堀内 成子
1
1聖路加看護大学看護実践開発研究センター天使の保護者ルカの会
pp.952-956
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100429
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はじめに
「子どものことを忘れることなんかできません。だって母親ですから」
ある母親は,周囲の人々から「まだ亡くなった子のことを考えているの? 失ったものをいつまで考えていても次へ進めないよ」と言われ,それに対して何も言えずにつらかったと語った。
周産期喪失は,子どもがこの世の中に生まれ出でて周囲の人々と関係性を築く前に亡くなってしまうことから,子どもの存在そのものが否定されやすく,母親の悲しみは周囲から理解されにくい。母親が子どもとの間に築いた絆は,妊娠期間がどんなに短くても,確かに存在したものであるのに対し,周囲の人々が子どもとのつながりを意識することは,母親のそれと比較して少なく,そのため母親は,子どもを亡くした悲しみだけでなく,「母親」としてのアイデンティティも認めてもらえない悲しみに苛まれることも少なくない。
私は,看護大学の付属施設としての看護実践開発研究センターにおいて,2004年9月から「天使の保護者ルカの会」を立ち上げ,流産・死産・新生児死亡の家族へのケアを行なっている。その会は,助産学・心理学専攻の大学院生をスタッフとし,特定の医療機関との連携をもたずに,体験者のセルフヘルプグループ「お空の天使パパ・ママの会 関東支部」スタッフと協働で運営している(http://plaza.umin.ac.jp/artemis/rcdnp/tenshi.html)。2006年度は,毎月2回お話し会を開催し,キルト作りや,靴作り,カラーセラピーの企画も行なっている。
本稿では,この活動を通して見えてきた,周産期喪失のケアとして改善できることを提案したい。
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