巻頭言
剖検率の向上を
武内 重五郎
1
1金沢大学
pp.675
発行日 1961年10月15日
Published Date 1961/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201024
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臨床医家,とりわけ内科臨床医にとつて剖検がきわめて重要な意義をもつことはいうまでもないことであり,多くの先人によつて繰返し剖検率向上の必要性が叫ばれてきたことは当然のことであつた。
試みに東大沖中,上田内科の剖検率をみると,昭和34年度はそれぞれ97%(63/65),90%(53/59),35年度は84%(53/63),89%(72/81)という成績がえられている。このような高い剖検率は教室員の並々ならぬ誠意と努力の基礎の上にえられたものであるが,現在の,少なくも東京地区においては努力さえすれば9割近く,あるいはほとんど全例が剖検可能であるという事実は,わが国臨床医学の高い水準を示すもので,われわれにとつて大きな励ましを与えるものといえる。
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