特集 感染症情報
保健所における麻疹ワクチン接種率向上に向けた取り組み
安井 良則
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.889-894
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100182
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麻疹,風疹をはじめとするワクチン予防可能疾患に対する最も効果的な対策は,ワクチンを接種することである1).予防接種法によって定められた定期予防接種は,市町村が住民に対して実施することとされている.筆者は,平成11年4月から平成16年11月までの間,堺市の保健所に勤務していたが,堺市は保健所政令市であり,昭和23年より市が保健所を設置しているため,予防接種についても保健所が中心となって業務を実施してきた.
平成11年12月から平成12年11月にかけて,大阪では麻疹が流行した.この流行は堺市を発端にしたものであるといわれており,翌平成13年より,前年の大阪の麻疹流行状況の調査に,現在ジュネーブにあるWHOに出向している砂川富正医師と共同で着手するとともに,堺市の1歳6か月児健診,3歳児健診を利用して,麻疹ワクチン接種の適応年齢児の保護者に対する麻疹および麻疹ワクチンに対する意識調査であるKAP study2)※注を行った.その結果をもとにして,その後様々な調査や対策を行っていくこととなった.
本稿ではこのKAP studyの結果を紹介し,その調査後に行った対策について言及していく.
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