特集 緊急帝王切開,事前・事後にできること
緊急母体搬送前後における妊産婦と夫の実態調査から―助産師の連携と看護の課題
保条 麻紀
1
,
中山 サツキ
2
,
中島 昌子
3
,
森本 美鶴
4
,
黒瀬 泉
5
,
早瀬 麻子
6
1特定医療法人愛仁会高槻病院
2大阪医科大学付属病院
3済生会吹田病院
4済生会千里病院
5大阪大学医学部付属病院
6国立循環器病センター
pp.600-605
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100241
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
出産年齢の高齢化,不妊治療の増加,多胎妊娠の増加に伴い,母子の抱える問題は多様化している。このようななか,大阪における地域周産期システムの一環であるOGCS(大阪産婦人科診療相互援助システム)は発足から18年目を迎え,多くの妊産婦がこのシステムにより母体搬送され周産期医療の発展に大きく貢献している。しかし,突発的な緊急母体搬送は妊婦と胎児の2つの生命が危険にさらされるうえ,妊産婦とその夫は病状を告げられたその瞬間からバースプランの遮断,知らない病院への搬送,初対面の医療スタッフのなかで緊急帝王切開などの処置を受ける。児の誕生などにより安心感を得ることもあるが,一方では母体や児の予後の病状説明を受けるなかで多大な不安を抱える。このような危機的状況における搬送前後の看護者の役割は大きいのではないかと考える。
私たちOGCS助産師・看護師会は大阪府下の母子保健向上を目指して平成13年に発足し,これまでさまざまな活動を行なってきた。しかし,システム化される母体搬送のなかで,突然の搬送を余儀なくされた妊産婦とその家族の看護上の問題点を調査したことはなかった。そこで,緊急母体搬送における41施設の問題点についての実態を把握し,搬送前後における助産師間の連携など看護のあり方について考察したいと考えた。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.