特集 救急搬送とケア
搬送対象者へのアンケート調査から考える
3.母体搬送妊産婦への心理的看護の重要性
徳田 幸江
1,2
1大阪市立北市民病院産婦人科病棟
2前:大阪市立桃山市民病院
pp.112-114
発行日 1995年2月25日
Published Date 1995/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901186
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はじめに
現在,私たち産科看護者に求められている役割は,妊産婦が満期産で分娩を迎え,健康な新生児をその腕の中に安心して抱き留められるよう援助することである。しかし,ハイリスク妊娠や異常分娩に移行した場合,安全性を求めて他施設に母体搬送を余儀なくされる場合がある。当事者である妊婦の心理状態は,「病院をかわる」「未熟児が生まれるかもしれない」といったさまざまな不安にさいなまれ,パニックに陥っても無理がない状況と言えよう。そして,母体搬送を受け入れた施設では,児の救命を優先するあまり,妊婦の不安への対応は二の次になりがちで,検査・処置に追われているのが現状ではないだろうか。
以前,筆者は大阪市立桃山市民病院に勤務していた時,母体搬送されてきた妊婦の思いを知るためのアンケート調査研究を行なったことがある(表1)。今回その項目に基づき,母体搬送された妊婦の精神面について,皆さまの理解の一助とするべく改めて看護について考え,述べてみたい。
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