連載 Current Clinic
母体救急搬送の「社会的側面」を考える―当院へ直接搬送された妊産婦の実像
水主川 純
1
,
定月 みゆき
1
,
五味淵 秀人
1
,
箕浦 茂樹
1
,
松下 竹次
2
,
木村 昭夫
3
1国立国際医療センター戸山病院産婦人科
2国立国際医療センター戸山病院小児科
3国立国際医療センター戸山病院救急科
pp.98-102
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102264
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周産期救急医療体制の現状が社会的問題になっている.直接搬送では患者申告や救急隊の情報だけで受け入れる場合もある.当院へ直接搬送された妊婦の背景を検討すると,「母体救急医療」「未受診妊婦」「妊娠中の不安」「自宅とかかりつけ医療機関が遠距離である妊婦の急速な分娩進行」「旅行中の異常」に大別された.母体救急医療が必要な症例の受け入れには産科と他科の連携が重要である.一方で,妊婦への保健指導や未受診妊婦に対する行政支援などによって,直接搬送のための救急車要請件数を減少できる可能性もある.安心できる周産期救急医療体制構築のために,社会全体で取り組むことが望まれる.
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