連載 図解 助産師のためのフィジカルイグザミネーション・File.3
妊娠期のフィジカルイグザミネーション② 頭部,頸部,胸部,四肢
大石 時子
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1天使大学専門職大学院
pp.532-539
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100228
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はじめに
妊娠が母体に及ぼす影響は全身にわたって多大なものがあるが,大抵は妊娠に伴う生理的な変化として正常範囲内で経過する。
しかし,いろいろな条件によって妊娠の影響は正常範囲を逸脱し,異常へと発展してしまうこともあれば,正常範囲内であっても不快な症状として現れることもある。後者はマイナートラブルと呼ばれることが多い。
これらの変化のどこまでが正常であるのかを見極めるためには,多くの知識,情報に基づくアセスメント能力が必要である。妊娠は病気ではなく生理的変化であるので,その正常範囲を見極め,妊婦を安心させることのできる技術は,異常を発見する能力と表裏一体となって,助産師の大事な能力の1つであろう。
その情報を得る1つの手段がフィジカルイグザミネーションである。本稿では,妊娠が母体に及ぼす影響のうち,助産師が知っておくべき症状を主に取り上げ,その正異を判別するために必要な診察技術を筆者が米国の助産師の資格を取得する際に受けたトレーニングを基に解説する。
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