連載 命をつなぐ災害復興法学 被災者を支えるお金とくらしの話・2
災害関連死を防ぐ避難所の環境整備 災害救助法の徹底活用と避難所TKB
岡本 正
1
1銀座パートナーズ法律事務所
pp.436-441
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664202106
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避難所の環境が災害関連死をもたらす
災害関連死とは、災害による直接死亡(圧迫死、溺死、焼死等)以外で、当該災害と相当因果関係が認められる死亡を言います。相当因果関係とは、ある原因から結果が発生することが社会通念上相当であると認められる関係を指し、さまざまな事情を総合考慮した上での法的評価により決定されます。つまり、①災害関連死に至るまでは一人一人さまざまな要因・素因が考えられるので、死因として死亡診断書に記載される傷病名や医療機関のカルテの記述だけでは災害関連死かどうかの判断はできない、②災害関連死に該当するかどうかの最終判断は法律実務の専門家たる弁護士が行うべきであり、医療・福祉・健康・行政に関する専門家は判断資料の収集・提示という立場に徹するなどの役割分担が重要である、ということです。
本稿では、災害関連死という概念の正確な理解を前提に、その最大要因となってしまっている「避難所の環境」をどう整備するべきかについて、法制度の根拠を学びます。
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