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はじめに
我が国の保健師活動は、地区担当制、業務分担制、あるいは地区担当制と業務分担制を相互に連動しながら活動する重層型のシステムの中で、地域に密着しながら活動してきた1)。多くの自治体の保健師は、妊娠期から母子健康手帳交付時に面接を行うなど、支援の必要なケースの特定に力を注ぎ、かつ特定妊婦や要支援家庭への支援を実施するなどハイリスクケースに重点をおいて活動している2-4)。また、乳幼児健康診査(以下、乳幼児健診)、新生児訪問、および乳児家庭全戸訪問事業等のポピュレーションアプローチが実施されているものの、担当保健師による就学前の全ての子どもを持つ家族を対象とした継続支援を実施している自治体は極めて少ない5)。さらに、母子保健で実施されていた支援が学校保健の支援へと継続されるケースは数少なく、支援が途切れる現状がある。
一方、フィンランドの妊産婦ネウボラや子どもネウボラは、我が国の健やか親子21において切れ目のない支援のモデルになったと言われている1)。フィンランドの妊産婦ネウボラや子どもネウボラは、母子保健サービスを提供する場のことであり、保健師が常駐している。フィンランドの母子保健制度は、担当保健師による継続支援を基盤システムとしている5)。ネウボラでは、地域に在住する全ての子どもを持つ家族を、担当保健師が妊娠期から子どもの就学前まで継続して支援している5,6)。このような継続支援において、子どもと家族の健康をモニタリングし促進すること、できるだけ早い段階で支援のニーズを特定して必要な支援を早期に提供することを目的に、乳幼児健診や家庭訪問などのサービスが提供されている。こうした継続支援により、問題の早期発見、早期予防、早期支援につなげており6)、高い効果を上げている7-10)。さらに、フィンランドの学校保健では、子どもネウボラが提供するサービスを途切れることのないよう支援の継続性を保証している。
本報告では、フィンランドの学校保健と子どもネウボラがどのように連携しているか、またフィンランドの学校保健における保護者支援の方策を紹介し、日本における母子保健と学校保健の連携の在り方、学校保健における保護者支援の在り方を検討したい。
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