建築と設備・83
フィンランドの医療・保健施設
伊藤 誠
1
1千葉大学工学部建築学科
pp.256-262
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900321
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“森と湖の国”フィンランドは,面積33万8,000km2,人口495万人,つまり日本とほぼ同じ広さの国土(正確にいえば日本よりは1割がた狭い)に日本のわずか4%に当たる人々が住む国である.長くスウェーデンとロシアの双方から支配され,やっと独立したのが1917年のことだ.第二次大戦ではソ連と過酷な戦いを交え,結局国土の1割以上を失うことになったが,その後は難しい地政学的な位置にありながら,ソ連とも友好的な関係を続け(それだけにソ連邦解体の影響は大きいだろう),着々と近代化を進めてきた.経済復興とともに医療や福祉にも力を入れ,今やスウェーデン・デンマークなどと並ぶ豊かな福祉国家に成長した.
日本に対してはきわめて友好的で,何度訪れても気分のいい国であるが,我々建築家にとっては特に建築の質の高さに脱帽させられる国である.
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