資料
フィンランドのプライマリー・ヘルス・ケア(下)—フィンランド社会保健省国家保健委員会
山根 洋右
1
,
吉田 暢夫
1
,
中川 昭生
1
,
牧野 由美子
1
1島根医科大学環境保健医学教室
pp.496-501
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206556
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
フィンランドでは,1970年代に保健政策の大規模な方向転換があり,プライマリー・ケアが優先されるようになった.保健制度のかなめとしての総合的第1次保健という考え方は,いまでは広く受け入れられるようになり,国の計画・出資システムによって,プライマリー・ヘルス・ケアに対してすばやく資金が配分されるようになった.フィンランドのプライマリー・ヘルス・ケアは,住民の代表による行政体であるコミューン(地方自治体)によって運営される.それへの融資は,一部は地方税によって,他は国家資金によってなされる.フィンランドの経験は,国際第1次保健会議(1978年)の基本文書に盛られた考え方の正しさをよく証明するものである。すなわちプライマリー・ケアを発達させるための決定的な要素は,新しい制度をうちたてるために必要な土台としての国の政治的意志であり,また人びとの要求に応える際の地方のイニシアティブを確立するための地域社会の参加である.これらのことは,発達途上諸国に当てはまるばかりでなく,先進諸国に対しても重要な示唆をあたえるものである.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.