連載 健康課題としての放射線防護 保健師による実際的な活動モデルに向けて・9【最終回】
保健師と看護学生に放射線を教える・学ぶ―2つのアクションリサーチから
小西 恵美子
1
,
菊地 透
2
,
麻原 きよみ
3
1鹿児島大学医学部
2自治医科大学RIセンター
3聖路加国際大学看護学部
pp.78-82
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200087
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はじめに
看護基礎教育では放射線の科目の空白が長く続いたままである。その状態で2011年3月の東日本大震災に伴う原子力発電所(以下,原発)事故に直面し,私たちは2つのアクションリサーチを行ってきた。
最初の研究は,「災害時下の看護職に対する放射線教育のアクションリサーチ」1)である。病院の看護師には,現任教育として,少なくとも法令による放射線教育の義務付けや,放射線医学総合研究所の放射線看護課程研修2)などの機会がある。しかし,保健師にはそのような制度も研修の機会もない。今回の事故では,これまで放射線とはほとんど無縁であった保健師が,地域の混乱や人々の放射線不安に対峙し苦闘していた。いたたまれぬ思いで,放射線看護・放射線防護・公衆衛生看護の研究者・実践者の協働チームを組織し,保健師への放射線の教育に着手したのであった。
そしてそれに続く研究が,現在の「保健師による実際的な放射線防護文化のモデル開発・普及と検証:放射線防護専門家との協働によるアクションリサーチ」3)だ。ここでも,「放射線教育」が重要な要素となっている。アクションリサーチでは,実践者と研究者がパートナーであることが重要である。このパートナーシップで行う「教育」から,私たちはたくさんのことを学んでいる。
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