増刊号特集 看護の未来を創造する アクションリサーチ─人々とともに,人々のために
ナラティヴとアクションリサーチ
やまだ ようこ
1,2
1京都大学
2立命館大学OIC総合研究機構
pp.382-388
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201532
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ナラティヴ(narrative,もの語り)とは
ナラティヴ(narrative,もの語り)とは,広義のことばによってもの語る行為ともの語られたものを指す。ナラティヴは,日本語の「物語」よりも広い意味で,「経験の組織化」「意味生成の行為」といってもよいだろう(Bruner, 1990/岡本,中渡,吉村訳,1999)。
私たちは,日々の生活の中でさまざまなことを経験しながら暮らしている。しかし,起こった出来事を逐一すべて記憶して語るわけではない。例えば,「昨日あったことを話してください」と問われたときに,あなたは,「昨日は,朝にベッドから起き上がって,ふとんを直し,それから洗面所へ行き…」と語るだろうか。「昨日,職場で患者さんが亡くなったのですが…」と語るとき,私たちは,種々雑多な出来事の中から,その場や文脈に応じて「意味あること」を編集している。このようにして,私たちは,経験をもの語りによって編集し,組織化し,意味づけながら日々生きているのである。
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