研究
1歳6か月児をもつ母親の育児の楽しさに関連する要因―健診時の問診票と「愛着-養育バランス」尺度から
武田 江里子
1
,
佐原 直美
2
,
小林 康江
3
1浜松医科大学助産学専攻科
2磐田市子ども部子育て支援課発達支援室
3山梨大学大学院医学工学総合研究部
pp.592-600
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102467
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
本研究は1歳6か月児健診の問診票と養育者としての発達状況から,母親の育児の楽しさに関連する要因を明らかにし,支援に役立てるための基礎資料を得ることを目的とした。
健診に来所し調査同意の得られた母親276名のうち,有効回答の得られた269名を対象とした。調査内容は,問診票の中の「子どもの発達状況」「生活状況」「子どもの行動で気になること」「育児に対する今の気持ち(育児の楽しさ)」および「心配ごと(自由記載)」と,「愛着-養育バランス」尺度とした。自由記載の「心配ごと」はテキストマイニング分析を行い,結果をPASWにエクスポートして,他の項目と合わせて分析を行った。「育児の楽しさ」とその他の調査内容の関係をみながら,「育児の楽しさ」に関連する「母親の心配ごと」「実際の発達」を潜在変数とし,外生変数を入れ替えながら,「愛着-養育バランス」尺度を含めたパス図を作成した(モデル適合:CFI=.864,RMSEA=.050)。
母親の育児の楽しさには,養育者としての発達状況や母親の心配ごとが関連していた。「初産婦か経産婦か」といったことや,家族構成,母乳を与えているかなどは育児の楽しさと直接的な関連はなく,子どもの発達についても,実際の発達よりも母親がその状況を気にしているかどうかが影響していた。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.