特集 障害をもつ妊産褥婦への援助
障害をもつ母親の養育上の問題点
長田 喜代香
1
1大阪府立助産婦学院
pp.903-912
発行日 1981年12月25日
Published Date 1981/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205937
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I.はじめに
乳幼児の生活は,親や他の成人たちにほぼ全面的に依存しており,親の健康状態や生活状態に大きく左右される。その中でも,児がまずこの世に生まれ出て接触するのは母親であり,母親は自分の顔,声,体,手などを使って世話をする1)。それにより児の生命は守られ,成長・発達していく。
一番ヶ瀬2)によれば,子どもの人権は次の特質をもっているという。第1には生まれる時と所を選ぶことができない,第2には子どもの権利保障は,その後の成人の時代の権利保障の実質化を左右する,第3に子どもは権利の主体者でありながら,子ども自身ではそれを要求する社会的立場と力をもたないということである。すなわち,児はどのような母親のもとに生まれるかわからないということであり,その母親に成長・発達をどのように保障されるかわからず,自ら成長・発達の保障を要求できないということである。
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