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はじめに
健康日本21(第1次)から引き続き,第2次でも健康寿命の延伸は目的の1つに位置づけられている1)。第1次以来,健康寿命については,算定に用いる基本情報が異なる数値が算出され,報告されてきた2-4)。現在,第2次の指標に取り入れられている健康寿命は,国民生活基礎調査の結果を基本情報として5),サリバン法6)で算出されている。なお,「健康寿命」は一般用語,「健康余命」は学術用語として用いられているが,本稿では健康寿命と健康寿命(余命)として使い分ける。
健康寿命の算出方法は主に2つあり,障害がなく生きられると期待される無障害健康寿命(余命)(DFLE)7)と,障害の程度を計算して健康で生きられると期待される期間を測定する障害調整健康寿命(余命)(以下,DALE)8)がある。前者はある一定の障害をもつと健康寿命の期間として計算されないが,後者は健康の状態を考慮(重み付け)して,一定の障害をもっても,残っている健康な部分は健康寿命として計算される。
本稿で紹介する「健康寿命(余命)と障害をもつ人の割合算出プログラム」(以下,本プログラム)で扱う健康寿命とは,後者のDALEである。この健康寿命は,介護保険の第1号被保険者の要介護(要支援)認定者を「障害をもつ人」と規定して,その数を基本情報とし,サリバン法6)を用いて65歳以上について算出する。
障害をもつ人の割合とは,健康寿命の算出過程で算出される加重障害保有割合(以下,WDP)であり,要介護度別に障害の程度(重み)を数値化した効用値(完全な健康=1,死に等しい=0)で,要介護(要支援)認定者数に重み付けをして算出する。重み付けをすることで,それぞれの要介護度の健康な部分は健康寿命として計算される。
筆者らは,このDALEとWDPの2つの指標を高齢者健康指標として報告し9),算出手順についても示してきた10)。しかし,市町村がこれらを日常的に算出することは困難であるとの意見があり,筆者らが算出して公表するという形をとってきた。茨城県では,2006(平成18)~2010(平成22)年までの5年間について全44市町村の算出を行い,報告書にまとめ,全市町村に配布した11,12)。
健康寿命の延伸が国の最重要課題として位置づけられ,健康づくりが進められているなかで,スピーディに算出結果が示され,都道府県,市町村が日常的に活用できるプログラムの開発は意義があると考える。
本稿では,必要データを入力すると算出結果が瞬時に可視化(見える化)される本プログラムの概要,システムの特徴,活用方法などについて紹介する。
本プログラムは,先(580頁)に紹介した「介護予防事業評価プログラム(全国版)」と同時開発した。茨城県立健康プラザホームページから無料でダウンロードでき13),一度保存したプログラムは継続的に使用できる。
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