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はじめに
高齢者の多様なニーズに対応するため,2017(平成29)年度末までに,介護予防給付のうち訪問介護・通所介護のすべてが地域支援事業へ移行することが検討されている1)。これまでサービスを提供してきた介護事業所以外に,ボランティアやNPO法人,民間企業などを効果的に活用し,既存のサービスに加えて多様なサービスを提供していくことを目的としている2)。
市町村はそれぞれの地域の実情に応じて,柔軟性のある取り組みによって,より効率的・効果的に介護予防事業を実施していくことが期待されている。現時点では,移行後の事業も介護保険制度内でのサービスの提供であり,財源構成は変わらないとされているものの2),多様なサービスが提供されるため,費用に対するサービス効果の把握はこれまで以上に複雑になってくると考えられる。
本来,長期的に安定した介護予防事業を推進するためには,市町村は介護予防事業評価を行い,事業の見直しを行うというPDCAサイクルをスムーズに実践していくことが求められている。また,介護予防の効果を検証することの重要性も唱えられている3)。しかしながら,これまで評価が十分に行われているとは言えず,また,全国的に統一された評価指標も普及していない。このような制度の変更と評価の現状を踏まえると,介護予防事業評価の必要性はこれまで以上に高まっていると言える。
これらのことを背景に,本稿では,筆者らが開発し普及をめざした,瞬時に評価結果が可視化(見える化)される「介護予防事業評価プログラム(全国版)」(以下,本プログラム)の概要,評価項目,システムの特徴などを紹介する。なお,全国版と命名している理由は,ほぼ同時期に筆者らが関わった茨城県介護予防推進委員会と茨城県が開発を進めた「茨城県版介護予防事業評価プログラム」と区別するためである4,5)。茨城県版と本プログラムの評価内容はほとんど同じだが,システムは異なる。
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